11月29日

土楽鍋でタジン



モロッコのエッサウィラ(Essaouira)という街へ行ったときに、ハッサンという背の高いモロッコ人の若者に出会った。街を歩いていると、彼は他のモロッコ人たちと同じようにすっーと俺に近づき日本語で話しかけてきた。はじめは適当にあしらっていたものの、彼の真面目そうな目に、何度目かに会ったときから会話を交わすようになった。彼はホテルで働いているんだけど、日本語を勉強したいので日本人を見つけると話しかけるんだ。日本人はとてもやさしくて、真面目で尊敬するよ。と自分のことを話しながら、俺の話すまだ知らない新しい日本語の言葉を、ほとんどインクの切れてしまったボールペンで手の甲にメモしていた。エッサウィラは小さな街なので、歩いていると何度となく彼に出会う。そして話をする。いい笑顔で俺のことを見下げながら真面目に日本語を覚えようとする彼は、日本人以上に日本人的で真面目だよ、と俺は内心覚えながら、そしてとても丁寧な日本語を話そうとする彼に感心していた。
そのハッサンがタジンを食べようという。彼は毎晩のようにタジンを作ってるんだけどいっしょに作って食べないかという。二人で市場へ行き、鶏肉を買い、野菜を買い、そしてスパイスを買う。タジン鍋でまず鶏肉を軽く焼き、野菜を切って放り込み、スパイスをかけ蓋をする。途中何度かかき混ぜ、30分待って出来上がり。タジン鍋を真ん中に二人、円盤形のアラビアパンを片手にタジンを食べる。三晩続いたか、四晩続いたか。

「タジン」と聞くと、いつもエッサウィラの背の高いハッサンのことを思い出すんだけど、彼のタジンはぶち美味かった。あのスパイスが魔法だったのかどうなのか、あれ以上の味にはまだ出会っていない。

今夜はモロッコのスパイスではなく、アルゼンチンのスパイスを使ってタジンを作ってみる。タジン鍋に似た土楽鍋を使ってはみたものの、ん〜やはりあのタジンの足元にも及ばない。




11月23日



一週間前の土曜日、突然冬になった。自転車には手袋が必要になり、鼻からは鼻水が飛び散った。代々木公園の紅葉まではあともう一息。
東京は快晴が続く。朝から太陽はじりじり。この熱を石のような物体に吸収させ、なんとか夜まで保存できないものだろうか。石油やガスを燃やしとってばっかりじゃあいけんじゃろう。

朝はホットケーキに山口の蜂蜜とカルピスバター。最近このカルピスバターが店頭にあまり並んでいないらしいが、カルピスさん大丈夫ですか?消えないでくれよ。
昼は六本木御膳房へ。星は逃したものの、ここは名店。一つ困った問題は禁煙ではないこと。お店の人もさてどうしたものか対策を練っているとか。今日は運悪く隣の客がよく吸う客で足早に店を出なければいけなかった。


ガイアのセールに寄り、大量の野菜とみりんおっぱいアイスなどを買う。ガイアはこの街にかなり根を下ろしてきて、とても有難い店になっている。
夜は手羽と里芋、大根、大豆のトマト煮込み、サツマイモと鶏胸肉のヨーグルトサラダ、ルヴァンのカンパーニャとチーズ。ワインがないのは寂しいが、最近のルヴァンパンは絶好調の味。

しかしまあ何ですよ、何より一番美味いのは青山家のメシで、これは間違いなく。ミシュランさんもまだまだ調査が足りんよ。

川島なおみが婚約したり、阿部寛も結婚するというし、篠原涼子はおめでただというし、なんだかとてもうれしいことであるねえ。川島さんはうちの結構近くに住んでるようなので幸せ空気が漂ってくるか。
俺のまわりの結婚できない男達や、結婚しない男達は動きなし。




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